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【かんとくの独り言(第7回)】

【栗山英樹流の選手育成に対する哲学】

今回は、日本ハム・ファイターズの栗山監督が「致知」という雑誌に語った内容を紹介しましょう。
私は、栗山監督の言われることに100%同意できます。ヴィクサーレというクラブを2005年に立ち上げてから、私は選手に教えるという感覚で指導したことはありません。何度も選手を「いじるな」と言い続けてきました。
それは、それぞれに個性があり、得意・不得意があり、選手が自己表現しようとする部分を制限するようなことをしてはならないと考えていたからです。

アメリカのバスケットボール界の名監督フィル・ジャクソン氏は、これを『柵に囲まれた広い土地の中で、自由に活動させる』と表現しました。

さらに彼はこう述べています。
「仏陀が精神について考えていたことと同じだ。瞑想する時に、人は考えを制限するのではなく、考えに囚われないようにする。選手を制限すると、彼らが出来ることよりも出来ないことに囚われてしまう。選手には広いスペースの中でできることをやって欲しい」

まさに、指導の核心をついた言葉だと思います。

2005年の創設から、ヴィクサーレは今年で16年目を迎えましたが、当初からの考えに変わりはなく、その想いは一層深まっています。
選手が試合をする時、私は常に彼らがどんな発想をするのか、その独創的な判断や意思に注目しています。
もちろん、フィル・ジャクソンがいう「柵」にあたるものはしっかり伝えなければならないので、その「柵」が何かということについては、きちんと理解してもらいます。チームの規律であったり、チームスピリットであったり、チームの戦い方の原理原則といったものです。

その「柵」さえ明確に示せれば、後は選手がその中で自由に動けば良いと思います。
しかしながら、今の指導では、選手が自由に表現する部分まで、指導者が先にやり方を決めてしまい、そのやり方を事細かに解説できるのがいい指導だ、という風潮があるのではないかと思います。
これでは、選手が「できることより、できないことに意識が囚われてしまう」のは当たり前なのです。

栗山監督は、大谷選手を例に語っていますが、私は大谷選手のような傑出した選手だけでなく、あらゆる選手に当てはめて考えるべきことだと思っています。

以下、「致知出版社の人間力メルマガ 2019.6.9より抜粋」青文字部分:加藤色付け

(栗山)
僕が特別に何かをしたから彼(大谷翔平=ロサンゼルス・エンゼルス所属)が
育ったというわけではありません。
ただ、僕が意識したのは前例がどうだとか、
野球とはこういうものだとかいう先入観を
いかに自分自身が払拭できるかということでした。

真白な感覚で大谷翔平という選手を見た時に、
投手としても打者としても絶対に世界に通用することは確かでした。

僕如きが自分の感覚で彼の可能性を閉ざすようなことがあってはいけない、
決められるのは野球の神様だけだと思ったものですから、
技術的なことはほとんど翔平に任せて、
僕と球団のゼネラルマネジャー(GM)は、
それを削いでしまうような要因を排除することに力を入れました。

翔平を見ていて僕らも勉強になったのは、
野球も結局は人間がやるものだということでした。
人間として駄目な部分は誰が見ても駄目なわけですし、
反対に欠点を改めて人間として成長していけば、
野球選手としても成長していく。その手本を示してくれたのが翔平だったんです。


翔平には「野球が上手くなりたい。そのためには何でもやります」

というはっきりしたスタンスがありましたから、
人間学の教えを含めて彼の成長のために我われはやれる限りのことをしました。

だからといって何かを無理強いしたことはありません。

うちのチームの特徴として、
必要以上に何かを教えたりすることはしないんですね。
普段は黙って練習や試合を見ていて、
何かを聞かれた時に「こういう方向がいいんじゃないか」と教える。

翔平をはじめ選手たちの成長を見ていると、
この指導の方向で間違ってはいなかったという感覚を抱きました。

だから、その分、僕たち指導者の勉強が欠かせないんです。
選手たちよりも十倍は勉強しないと彼らの成長に追いつかないし、
人間的に成長させてあげることができない。

指導者としての僕の課題は自分が人間として
大きくなることだと思っていますので、
だからこそ過去1000年、2000年の間、
様々な苦しみを味わいそれを乗り越えてきた
先人たちの教えにも積極的に学んでいるわけです。

前回の理事長コラムはこちらからご覧ください

【かんとくの独り言(第6回)】

【かんとくの独り言(第5回)】

【かんとくの独り言(第4回)】

【かんとくの独り言(第3回)】

【かんとくの独り言(第2回)】

【かんとくの独り言】

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