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【かんとくの独り言】

2018年クラブユースU-13大会優勝に思うこと

さっきヴィクサーレのホームページを見て初めて知ったけど、優勝したヴィクサーレには沖縄県の「県トレ」は誰もいないそうだ。「県トレ」ゼロで優勝。こういう事実はとても痛快だ。沖縄にいると地元の人間は、皆「県トレ」という言葉に反応する。

「県トレ」に選ばれれば、まるで将来が約束されたように喜んでいる。

 

「県トレ」が日本のサッカーの標準だと思ったらそれは間違いだよ。「県トレ」の練習をやったら上手くなるとか、あれは日本代表と同じ練習だとか思うのも違うね。あれは、サッカーの指導者が誰でも考えられる一つのやり方でしかない。「県トレ」が優れた選手の集まりで、そこから漏れた選手はダメな選手と考えているとしたら、今すぐそんな考えは捨てた方がいい。

 

今年の高校サッカー選手権、長崎県は「長崎総科大附」、鳥取県は「米子北」が優勝した。

「長崎総科大附」では3年生の下地春也と仲田瑠、「米子北」では1年生の崎山友太が大活躍し、地元の新聞やテレビにヴィクサーレの名前と共に大きく取り上げられた。沖縄県では「那覇西」が優勝しており、「那覇西」では3年生の高良竜太朗がCFとして活躍した。

いずれもヴィクサーレOBだが、下地と高良は沖縄県の「県トレ」には全く呼ばれたことがなかったというし、仲田と崎山も中学の途中から「県トレ」には入らなくなったそうだ。

しかし、彼らはそれを気にしなかった。私も彼らの普段のプレーを見ていたので、「県トレ」に選ばれたとか選ばれないとかは、まったく気にしたことがなかったよ。

ホームページを見て初めて知ったというのはそのためだ。

 

自信を持って言えることだが、「県トレ」に選ばれていなくても、ヴィクサーレの1年生にも、2年生にも将来性豊かな選手が沢山いる。自分は大人を見る目はないが、子供を見る目はある。(笑笑)

選ばれないことを悲観することは全くないよ。だって、いい選手というのは、論より証拠で、普段の試合や練習を見ていれば分かるもの。トレセンは選考会その時だけでしょ。選手を評価するために大事なのは、普段、日常を見ること。普段、日常を見ていない人がその瞬間で選ぶことには間違いも多いということだよ。また、選ぶ側の指導者に、いい選手を見極める能力があるかどうかの問題もある。

 

昭和の歴代総理に大きな影響を与えた安岡正篤(やすおかまさひろ)氏が、思考の三原則として、次のことを挙げている。

第一は、目先に捉われないで、出来るだけ長い目で見ること。
第二は、物事の一面に捉われないで、出来るだけ多面的に、出来れば全面的に見ること。
第三に、何事によらず枝葉末節に捉われず、根本的に考える。

 

サッカーに置き換えれば、

  • 今何ができるかだけでなく、どういう特徴を伸ばせるのか、将来の可能性を見る。
  • 技術だけでなく、戦術眼、体格・体力的要素、性格など個人の資質全体を見る。
  • ボールを持っている時だけではなく、ボールを持っていない時、さらに日常生活での振る舞いを見る。

ということだ。

 

少なくとも、自分はこのようにして選手を見ている。

 

最後に、これは「県トレ」に行かなくていいとかいうことではないよ。「県トレ」にこだわりたい人は、とことん突き詰めればいい。

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